「どこか会社に入っても倒産するかもしれない」「そんなときに自分の足で立てる状態にしておきたい」
私は2015年の春に大学を卒業しましたが、新卒で会社員にはなりませんでした。内定は決まっていたものの、世界一周がしたかったので卒業式の1週間前、事前面談で内定を辞退しました。
7年前の今日がちょうど、大学の卒業式1週間前、内定先に向かう電車がやたらと暖かくて「やっぱり世界一周したいなあ」と旅したくなってしまい、内定を辞退し、帰り道のサンマルクで旅の計画を立て、帰宅後スーツを全部捨てた日で分岐点感がある
(直前の内定辞退は迷惑行為なのでやってはいけません)
— あゆちき🐥🔥ゆるいライティング講師 (@ayuchiki_2) March 14, 2022
そこからフリーターとして働き、1年後に無事に世界一周に旅立ちましたが途中で貯金が底をつき、途方に暮れる事態に。そこでライターという仕事を見つけ、クラウドソーシングで仕事を受け始めたのが現在の仕事の始まりです。
帰国後そのまま独立し、フリーランスになりました。そうして会社員経験がないまま、29歳の終わりまでの6年をフリーランスとして働きました。
現在は2022年10月に業務委託先に入社したことをきっかけに、人生で初めて会社員をしています。
このような経歴を話すとよく言われるのが「会社員を経験しないまま独立、大丈夫だったの?」「不安じゃなかった?」など。
フリーランス時代に出会った大人たちにはよく「成功するわけない。今からでも会社員になったほうが良い」と言われました。
また学生さんから就職するか悩む、現役フリーランスの方にも会社員に戻るか悩むと相談されることも増えました。
私はどうしてもフリーランスとして働きたかったので6年続けましたが、良いこともあれば悪いこともあったのは事実。
そこで今回は実際に新卒で会社員にならずフリーランスになって良かったこと、悪かったことをまとめました。
厳密に言うと大学卒業>フリーター>フリーランスという流れなので、そこはご了承ください。
正直にいうと簡単ではなかったし、当時の私は働くこと自体舐めていたと思います。でも学びが多かったのも事実で、私は最初の働き方としてフリーランスを選んで良かったと思います。
今回の記事が進路やキャリアに悩む誰かの参考になれば幸いです。
補足として、私がフリーランスになった2017年はまだまだライター人口が少なく、独立しやすかった時期だと思います。現在とはまた違い、チャンスを得やすい時代だったことは頭に入れてお読みください。
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もくじ
会社員経験なくフリーランスになって良かったこと
まず会社員経験のないままフリーランスになって良かったこと。
うーん、ない!
ブログが終わってしまいそうですが、ちゃんと理由があります。
やっぱり会社員をしないままフリーランスになると、周りとハンデが生まれます。
ビジネスマナーがわからない、スキルを独学で習得し自分で考えないといけない。
その状況が合わない・向いていない人もいます。どうやって動けば良いのかわからず、立ち止まってしまう。
そうしてうまくいかない時期が続くと自分に自信を持てません。でもそこに試行錯誤できないとフリーランスとして働き続けるのは難しい気もします。それを自分で乗り越えないといけないのがこの進路です。
個人的な考えですが、独立の理由は何であれ、どこかで区切りがないと自分で社会人の気持ちに切り替えるのは難しいのだと思います。
就活をして内定式に参加して社会人になる。その流れが気持ちの切り替えになり、社会人としての責任感を持てるようになる。そこに違和感を抱く気持ちも当事者としてわかる反面、その流れを経験しないと、人は大人になる機会を失ってしまうんだと思います。
学生気分の延長で仕事をすることになるため、責任感を持てず、他責的な考えが生まれやすいとも感じます。お恥ずかしいですが、私はそうでした。
そんな状態では結果はなかなか出ない。頑張りどきに踏ん張れる気力もない。
ネガティブな状態に陥りやすく、その姿勢はこれからの長い社会人生活で大きなハンデになります。その切り替えを自分でしっかりすることが必要で、私はこれを乗り越えるのに3〜4年かかりました。
学生から社会人に切り替える機会は意外と影響が大きく、その流れを経験できないことは想像以上に機会損失かもしれません。
ネガティブな始まりになりましたが、ちゃんと良かったこともあります。
- 自分に自信がついた
- 考え方がポジティブになった
- 人生で何があっても大丈夫だと思えた
他人と違う選択をすることは怖いです。でも自分で決めたことなら不思議と怖さがなくなり、後ろを見なくなります。
私はどうしても世界一周がしたかったので「就職しない」と決めて前を向けましたが、この気持ちがなければ簡単に挫けていたと思います。だからこそ、達成して少しでも稼ぎながら旅を終えられたことは大きな自信になりました。
自分で道を決めてその通りに進む。この経験ができたことは大きかったです。
そこから3年目まで収入が10万円から伸びない時期もありましたが、それは自分が甘かったからだとも思いますし、その時期があったから自分の甘さにも気づけました。収入が伸びたのもそこからです。
遠回りはしたけれど、悩みながらも自分でそれを乗り越えて自分がベストだと思える生活を手にできた。そのおかげで、もうこの先何があっても笑って乗り越えられるだろう、そんな気持ちになれました。
ちなみに私がちゃんと稼ごう、自分の人生に責任を持とう、と思ったのは当時付き合っていた人に「好きなことしているのに稼いでいない」「口だけ」と言われたこともきっかけなのですが、まあこれはまたビールでも飲みながら・・・🍺
会社員経験なくフリーランスになって悪かったこと
先ほども少し書きましたが、会社員経験のないままフリーランスになって悪かったことはこのあたりです。
- ビジネスマナーを知って実践する機会がない
- タスク・スケジュール管理を自分で試行錯誤する必要がある
- 大人と接する機会が少なくなる
やっぱり、みんなが受ける新卒1年目の研修を受けられないのは大きなデメリットです。
必要ないと思うかもしれないけれど、フリーランスが仕事をいただくのは企業です。
Web業界は他の業界に比べて自由さはありますが、誰が相手だろうと失礼のないよう仕事を進めることは必須。その’’いろは’’を知らないまま仕事を開始してもうまくいきにくいと思います。
よっぽど自制心と管理力のある人なら大丈夫ですが、22〜23歳で兼ね備えている人は少ないです。
あとは意外と、40〜50代の人と接する場面が少なくなるのは機会損失な気もします。
大きな意思決定をするのはその世代なのに、うまくコミュニケーションが取れない。それだけでチャンスを失うこともあると感じます。
つらつらと書きましたが、これらのハンデを自分で乗り換えられる人は問題ないと思います。
大変だけれど、楽しいことも多い。どうやって乗り越えるか?と楽しみながらフリーランスとして働く人が増えればうれしいし、そんな人はきっと大丈夫です。
▼自分に向いている仕事を探したい人はこちら
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会社員経験のないフリーランスがまず取り組んだこと
ここまで就職せずにフリーランスになった当時を振り返りましたが、ハンデを埋められるように何を実践すれば……?と悩みますよね。
そこで私が独立初期に取り組んだことを洗い出しました。
主な3つとして、以下を紹介します。
- ビジネスマナーをひと通り学ぶ
- スピードを意識する
- 期待値を調整しておく
ビジネスマナーをひと通り学ぶ
フリーターになると決めたときに実施したこと、まずビジネスマナーを学びました。
新卒でフリーターになったとき、真っ先にしたのが「新社会人向けの本を読む」
やりたいことのための進路とはいえ、みんなが教わるビジネスマネーや当たり前を知らないまま働くことへの恐怖心がすごくて、そこだけはちゃんとしようと
そのままフリーランスになったけれど当時の知識は一生役立っている
— あゆちき🐥🔥ゆるいライティング講師 (@ayuchiki_2) June 16, 2023
ほとんどの人は新卒1年目、会社の研修で身につけるものです。
でも自分はその研修を受ける機会は今後一生なく、フリーターでどんなアルバイトに就いてもすぐに対応できることが求められるだろう。
そう考え、大学の卒業式が終わってすぐに本屋に走りました。
その他、必要なことは次の方法で学んでいます。
- ビジネスマナー(挨拶、メールの書き方など):書籍
- 名刺の渡し方:YouTube、検索
- コミュニケーション:バイト先の飲み会に必ず出席
YouTubeと言うと「これだから今の子は……」と思われるかもしれませんが、当時はこれしか思いつきませんでした。
また飲み会については賛否両論ありますが、学生時代に社会人と接する機会はあまりありません。相手も学生として接するため、なかなか本当の意味での交流は難しいと感じます。
特にこのままフリーランスになれば目上の人と接する機会はグッと減る。大人とコミュニケーションを取れないのはまずい。感覚的ですが、そんな焦りがありました。
何よりも、やっぱり結局は人と人です。対人で決まる何かもあるだろう、とも感じます。そのため店長やマネージャークラスが参加する飲み会は参加を心がけていました。
ちなみに当時読んだビジネスマナーの本はこちらです。
スピードを意識する
次は仕事が始まってからの話です。
私はランサーズを使ってライターになったため、依頼をもらい、指定の納期までに提出するという流れで仕事が進みます。
期日までに間に合えば良い。そう考えるかと思いますが、私はなるべく早く提出することを意識していました。
その結果生まれたのが、3日前納品。これは今でもなるべく続けています。
ライター3年目頃まではずっと3日前納品をしていましたが、3年目後半からお仕事が増え多忙になり、また最近は緊急の依頼も多く、納期当日になる日も正直あります……申し訳ないです。
3日前納品を意識した理由は以下になります。
- 人は想像を超えたときに感動するから
- 周りのライターの提出がギリギリだと知ったから
- 独立初期、文章力でベテランライターに勝つのは難しいから
人は何にお金を払うのか。それは「お!」「いいじゃん」と感じたときです。
ライターは文章力でそう感じてもらえたらベストですが、ライティング未経験の1年目のライター。そう簡単には伸びません。
そこで「自分は何で勝てるか?」を考えたときに思いついたのがスピードでした。
同時にふとしたきっかけでほとんどのライターが納期ギリギリで、指定の納期すら守れない人もいると知りました。
そのときにチャンスと感じ、3日前納品を意識し始めた記憶があります。
誰かができないことをする。独立・依頼初期に限りますが、それだけで価値になります。
期待値を調整しておく
先ほどの3日前納品に似ていますが、クライアンさんが想像する「これくらいだろう」をできるだけ下げておく。これを期待値調整と呼んでいます。
どうしてかと言うと、お仕事が受注できない、継続されないのは「相手がガッカリしたとき」です。
思ったより文章力が低い、納品が遅い、コミュニケーションが取れない。
このガッカリを防ぐためにも「自分はこれくらいで出しますよ」と期待値を下げておくのです。
ただし「初心者なんで」は絶対NGです。仕事を受ける以上、独立1ヶ月でも1週間でもプロです。これは推奨しません。
そこでおすすめなのが納品時期の期待値調整で、事前に伝えた「これくらいで出しますよ」の日付より先に提出するのです。
その他、納品時期の期待値調整は結果として認識違いも防げます。
例えば「月曜に提出します」と言ったとき、自分は「月曜の18時頃までに」と思っていても相手は「月曜になった瞬間、午前中くらい」をイメージしている可能性があります。
このイメージ違いをしたまま月曜の18時に納品すると、相手は遅いと感じてしまうはず。
日本語は曖昧で抽象的な表現が多いため、この言葉の定義の違いによる認識齟齬はどうしても起こりやすいです。
その認識齟齬を防ぐために相手に「月曜の18時まで」と伝え、18時頃に納品されるだろうとイメージさせておくのです。
このとき月曜と伝えて金曜夜に出す、ができればベストです。
おまけ もちろんライターは文章力も必須!
その他もちろんライティングスキルを高めることも必須。文章力についてはずっとスキルを磨き続けてほしいです。
ただ私の場合は人生で初めてのクライアントさんが本当に良い人で、まだまだな私の文章を何度も何度もフィードバックしてくれました。
何よりも2日かけて書いた記事を褒めつつ建設的にアドバイスをくれて、そのメッセージを受け取ったときの気持ちは今でも思い出せます。
本来であれば修正はゼロであるべきで、クライアントさんに教育の義務はないというのが私の考え方です。
ただやっぱりこの方が真摯に向き合ってくれたことで、私もライターを頑張ろうと踏ん張ることができました。だからこそ、ライターになって7年経った今も自分の拙い文章に向き合い続けられるのかもしれません。
あのフィードバックは一生の宝物です。
\ 当時のFBを参考に、ライターのよくあるミスと改善例をまとめました /
結局自分は会社員をすべき?フリーランスになるべき?向いている人とは
ここまでを踏まえ、会社員経験のないままフリーランスになることに向いているのは次のような人です。
- 何が何でもやりたいことがある人
- 周りの声に惑わされず、自分で決められる人
- 自分の人生に責任を持てる人
- 後ろではなく前を向ける人
フリーランスになって失敗しても、誰かが責任を取ってくれるわけではありません。自分の人生だからです。
厳しいと感じるかもしれませんが、そこを乗り換えられなければ独立は難しいと思います。独立はできても、仕事を受注し続けることは難しいでしょう。
反対に、絶対にやりたいことがある人は大丈夫です。挫けそうなときに心の支えになるのは「これをしたい!」という強い想いだからです。
もしそれが失敗しても、その経験を前向きに捉えられるはず。
ここまで言われてもフリーランスになろうと思った人がいたら、私は全力で応援します。
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新卒フリーランスになれたけれど、不安が拭えないときは
この記事を読んでいる中には、実際に新卒でフリーランスになった人もいるのではないでしょうか。
独立はできたし、仕事もある程度は受注できている。でもクライアントさんとのコミュニケーションやさらに仕事を増やす方法がわからない。というか、社会人経験がないから自信が持てない……という人もいるかと思います。
そこでライター限定ですが、ライティングの知識提供とあわせて仕事が途切れないフリーランスになる仕事術も教えるライティング講座を開催しています。
- 全4回のオンライン講義
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期間は5週間と短くはありますが、社会人として大切なことをお伝えしながら収入アップも実現できるよう伴走します。
そして卒業後もサポートは一生無料。
5週間で決めた理想のフリーランス像が実現できるまで、必要なときは面談やメッセージで適宜サポートします。
開催は不定期ではありますが、開催前はX(旧:Twitter)のアカウント「ayuchiki_2」でお知らせしています。
詳細は専用ページにまとめました。どのような講座か気になる方は、こちらからご確認ください。
自分で選んだ選択に責任を持つと、人生は圧倒的に楽しくなる
今回は新卒で就職せずにフリーランスになって良かったこと、悪かったことをまとめました。
嫌なことも書きましたが、私が思う会社員経験のないままフリーランスになってよかったことはたくさんあります。
代表的なのが今回紹介した3つ。
- 自分に自信がついた
- 考え方がポジティブになった
- 人生で何があっても大丈夫だと思えた
自分で選んだ人生に責任を持つ。そこから失敗しても成功しても、この経験を20代前半で積めるのは人生で大きな財産になるはずです。
だから一度の人生、1回くらいやりたいことに突っ走ってやり切っても良いのではないでしょうか。